榊原税務労務会計事務所

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助成金等の課税を遅らせる圧縮記帳

アクセスありがとうございます。

愛知県刈谷市の税理士・社会保険労務士榊原大志です。

 

今回は、社労士の主要業務でもある助成金業務について、助成金を受けた後の法人税課税を遅らせる方法をご紹介します。

 

政府は種々の政策実現のために、様々な補助金助成金を実施します。

例えば、昨今の働き方改革によって発生する様々な労働問題に対応するために発生する費用を助成する助成金(時間外労働等改善助成金、人材確保等助成金等)や、設備投資を促進させるための補助金(ものづくり補助金、IT補助金等)など、経済産業省厚生労働省主導の助成事業が数多く実施されています。機械等の設設備投資や、長時間労働・人事評価制度といった人事労務に関する様々な問題に対応するためにかかる費用、労務管理ソフト・労務管理機器の購入に要する費用など、かかった費用の一部が補助金助成金(以下「補助金等」という。)として支給されます。

 

税法では、補助金等は原則その全額を収入または収益が発生した事業年度の総収入の額または益金の額に算入することとなります。したがって、受けた補助金等に対して、実効税率約35%の税金が発生することとなります。

※参考ですが、国庫補助金等は消費税法では不課税となります。

 

そこで、税法には国庫補助金等に対する圧縮記帳という制度が設けられています。圧縮記帳は、臨時偶発的に発生する補助金等の収益計上時期を遅らせることで、各種補助金等が課税されることによるその支給趣旨や目的が達成できなくなってしまうことの無いように、一時的に課税を繰り延べるために設けられている制度です。

 

圧縮記帳では、補助金等を大きく2つに分けて認識します。

1つ目は、事業の経費に充てるための補助金「経費補助金

2つ目は、施設や固定資産を取得や改良のために要する補助金「施設補助金

ここで、経費補助金については、既に補助金等に対する経費が発生していますので、課税の問題はありません。問題は施設補助金です。

 

施設や固定資産を取得・改良するための費用は、原則資産計上です。(金額により、一時的に損金算入することもできますが、ここでは無視してください。)

資産計上された資産は、減価償却費として、事業の用に供した事業年度以降の各事業年度において損金の額に算入されることとなりますが、補助金等は一時に益金の額に算入されますから、結果的に益金の方が多くなり課税が発生してしまうことになります。

 

例)

取得価額1,000万円→各事業年度で按分され経費化

補助金 500万円→一事業年度で益金の額に算入される

 

取得した資産は複数の事業年度を通して損金化されるのに対し、補助金は収入等が確定した事業年度で、その全額が益金の額に算入されます。複数の事業年度を通してみれば課税関係は同じですが、資金繰りを考えた場合には、一時的に税金分だけ資金繰りが悪化してしまうことになります。この例で行くならば、課税がなければ500万円が補助されたところ、実際には325万円しか資産購入に充てることができなくなってしまうわけです。

 

そこで、圧縮記帳(直接減額方式)を採用すると

 

例)

取得価額1,000万円

補助金 500万円→取得価額から控除

新取得価額500万円を減価償却費として各事業年度に按分計上

 

新取得価額を利用することで、補助金等を収入した事業年度は課税されることなく、逆に資産を取得等して事業の用に供した事業年度以降に計上される減価償却費を少なくすることで、補助金等の額が益金の額に算入されるタイミングと、その補助金等に対する資産が減価償却費として費用化されるタイミングが完全に一致することで、課税インパクトを分散させることができます。 

 

ただし、圧縮記帳の直接減額方式は、企業会計上は正しくない処理となります。そこで

積立金方式を採用することもできます。

積立金方式では、圧縮積立金を貸借対照表の純資産の部に計上し、非常に複雑な申告調整をすることで直接減額方式と同じような効果を得る方法です。複雑なため中小企業の方の多くは、直接減額方式を採用しています。

 

なお、補助金等が翌事業年度以降となるケースも多々ありますが、その場合でも圧縮記帳は適用可能です。また、補助金等の返還不要が確定していない場合には、特別勘定を用いることで圧縮記帳と同様の処理をすることが可能です。

もし補助金等の交付が決定した場合には、税法や会計処理についても確認しておく必要があります。